会社を休まず、ハワイ留学。「今」だからできる英語学習の新スタンダード

世界で競争力を失いつつある日本。そのシンプルにして大きな要因の1つが日本人の「英語力」だ。2022年5月、語学留学情報サイトの運営、留学エージェント事業を展開するスクールウィズが新たに「リモートワーク留学」というサービスを開始した。流行りの英語コーチングに並ぶ、英語学習のスタンダードになるのか。スクールウィズ代表取締役の太田英基氏に話を聞いた。

太田 英基 株式会社スクールウィズ代表取締役 
大学2年時にビジネスプランコンテストで最優秀賞を獲得し、株式会社オーシャナイズを仲間と起業。広告事業「タダコピ」を手掛ける。丸5年働いた後、会社を辞めて世界一周へ。2013年、スクールウィズを立ち上げ、代表取締役に就任。

「リモートワーク留学」は、会社を辞めずに留学する「時間」を生み出す

──スクールウィズは2022年5月に「リモートワーク留学」をリリースしました。どういったサービスなのでしょうか?

太田 リモートワーク留学は、仕事と留学を両立する新しいコンセプトの留学スタイルです。海外の留学先で現地の語学学校にも通いながら、リモートワークで仕事もする。そうすることで、キャリアの「空白期間」を作らずに、誰でも海外語学留学をすることが出来ます。

語学留学をするためには、少なくとも数週間単位のまとまった時間を取る必要があります。会社勤めの人は退職しない限りはほぼ不可能。フリーランスであっても仕事を止めるのは一大事です。キャリアへの不安から、多くの社会人が留学をあきらめていたのが実情です。

──会社を辞めてまでとなると、留学にはなかなか踏み切れないですよね。

太田 在職中に有給休暇を活用して短期留学に行く人もいますが、在職中に作れる時間は数週間から1-2週間程度。短期間では英会話にやっと慣れてきたタイミングで終了となってしまいます。それに、留学にかかる渡航費は期間に関わらず一定のため、短期留学だと長期留学よりもコスパが悪い。

留学のためのまとまった時間をいかにつくるかは、語学留学を支援する上で大きな課題でした。しかし、コロナ禍でリモートワークが一般化したことによって風向きが変わりました。リモートワークで仕事をできれば、会社を辞める必要はなくなり、留学へのハードルは大きく下がります。

──リモートワーク留学先として、ハワイ、アメリカの西海岸、バンクーバーの3カ所が選択可能です。なぜこの3カ所に絞っているのでしょうか?

太田 語学学校に通いながら日本のビジネスタイムに働く上で適した時差があり、条件が良い場所を選びました。

実は、時差を考慮した時、最も適しているのがハワイです。日本時間の9時は現地時間で14時。現地時間の午前に語学学校で授業を受けてからでも始業に間に合います。仕事が終わるのは現地時間の23時なので、平日は忙しくなりますが、週末はオフなので自由時間も取ることができます。

※スクールウィズ提供の図を元に作成

バンクーバーはもう少し時差が大きくなりますが、ハワイほど物価が高くないので、費用面からはおすすめですね。

コロナ禍が生んだ、新しい語学学習のカタチ

──リモートワーク留学は、コロナ禍がきっかけで思いついたのでしょうか?

太田 実は、コロナ禍以前もリモートワークを導入している企業はあったので、その制度を使って留学に行くというアイデアは元々持っていたんです。コロナを経てリモートワークが常態化していくという確信が得られたためローンチに踏み切りました。

──最近ではGoogleのように出社義務を課す企業もあります。リモートワークの導入は賛否が分かれていますが、太田さん自身はどう考えていますか?

太田 会社のスタイルや職種によるので、一概には言えないですね。営業ならばリアルな場で励まし合ったりすることでパフォーマンスが上がるかもしれないし、エンジニアならば各々が最適な時間と場所で働くのが良いかもしれない。

スクールウィズでは2020年からフルリモート勤務を導入しています。当初は社員のエンゲージメントが弱まるという不安もありましたが、2年間運用して問題ないと判断しています。

ただ、リモートワークを不安視するのは主に企業の管理職の目線ですよね。働き方に自由度が生まれることを個人がデメリットに感じることはあまりないでしょう。そういう意味では、今後はよほどの人気企業でない限りは、リモートワークを認めていないと人材を採用できない、ということが起こるかもしれません。

「君は何もわかっていない」と言われ、世界一周旅行へ

──スクールウィズは2013年に創業されていますが、そもそも、なぜ太田さんは「語学」をテーマに起業したのですか?

太田 元々は僕自身が英語にコンプレックスを持っていたことが創業のきっかけですね。

僕は大学時代の2005 年に株式会社オーシャナイズを創業し、「タダコピ」という広告サービスを立ち上げたんです。それなりにサービスが拡大していたのですが、当時マッキンゼー・アンド・カンパニー日本法人の代表を勤めていた横山禎徳さんに出会って、ボコボコにされたんです。「そのビジネスは海外でも通用するの?君は世界のことを何もわかってないよ」って。

その指摘は図星でした。海外展開を考えたことすらありませんでしたし、そもそも僕自身、英語力が皆無だったんです。ただ、そこで指摘いただいたことで自分の語学力の無さが人生を限定しているんだと気付かされました。僕は当時24歳でしたが、30歳までに世界で戦える人材になれるよう、2年間の世界一周旅行に出ることにしたんです。

──なぜ、語学留学ではなく、世界一周旅行に?

太田 当初はBRICsと言われていたブラジルかロシアに5年ぐらい行って、語学を学びながら経験を積むつもりでした。ただ、その時にメルカリ創業者で当時ウノウの代表だった山田進太郎さんとお話しする機会があって「一カ所にとどまらずに、絶対に世界を回った方がいい」と強く勧められたんです。

実は、進太郎さん自身もメルカリ創業前に世界一周をされているんですよね。確かに、世界一周ならば語学を身につけながら、世界の情勢をインプットすることもできるし、海外でビジネスネットワークを作ることができるなと思って。

グローバルキャリアの障壁は「語学だけ」だった

──世界一周中の2年間はどのように過ごしていたのでしょうか?

太田 まずは最初フィリピンに行って3カ月語学留学をした後、1年10カ月ほど世界を周りながら海外で働いている人にインタビューをしていったんです。そうやって帰国後のビジネスアイデアを書き溜めていました。

──旅をしながら、帰国後の起業のアイデアを探していたんですね。

太田 はい。話を聞いていくと、みなさんやはり英語力で苦労していたんですね。あまりにも英語の苦労ばかりを話すので「他にはないんですか?」と聞いてみても、生きていく上で大変なことはあるけど、仕事をしていく上での問題は語学力に尽きると。

ビジネスレベルの英会話を習得するのに必要な学習時間は約2000時間と言われています。毎日30分オンライン英会話しても10年以上かかる。週1回1時間の英語教室だと、40年以上。しかし、留学して真面目に勉強すれば約半年で達成可能です。英語を身につけるならば留学が圧倒的に最速最短なんですよ。

※スクールウィズ提供の図を元に作成

日本では中学から英語学習が始まり、大学卒業まで10年間英語を学んでいるはずなのに、英語が苦手だという人が多いですよね。社会人になって英会話教室に通っているのに英語で電話にも出れないという同僚もいました。

一方、韓国も以前は英語力が低いと言われていましたが、アジア通貨危機をきっかけにフィリピンに英語学校を設立し、国をあげて英語教育に力を入れました。今や韓国人の多くは英語を話せるようになり、グローバル企業も多数生まれてきています。グローバルなビジネスの場では英語は話せて当たり前。そこがスタート地点ですから、日本企業が世界市場から取り残されてしまっているのも無理はありません。

日本人が英語を普通に話せるようになっていたら、日本経済はここまで燻っていないと思います。日本の中小企業は自ら海外営業にはいかず、海外展開するとしても商社を経由するケースが多い。すると自社の製品について自ら語る場が少なくなり、価格交渉力も下がってしまう。

一方、アジアの国々は英語が下手でも自ら海外に売り込んでビジネスを拡大しています。海外でビジネスしている人はみんな日本の状況を憂えていて、沈没するまで気づかないんじゃないかと口を揃えていました。

──太田さん自身が海外に出たことで、そうした危機感を肌で感じたのですね。

太田 そうですね。実をいうと、海外旅行を終えた直後は一度外資系企業で経験を積むことも選択肢の一つにはあったのですが、やはり自分でビジネスをしたいという思いが勝りました。

では何をするかと考えた時、海外留学の領域にイノベーションを起こしているプレイヤーがいないことに気づきました。この現状を変え、日本のグローバル人材の底上げをしたいという思いから、スクールウィズを創業したんです。

個人の可能性を広げるため、企業の制度から変えていく

──グローバル人材の底上げをしていくために、スクールウィズは今後どのような展開をしていくのでしょうか?

太田 個人のキャリアを考える上でオプションは多いに越したことはありません。日本でしか生きていけないのはリスクなので、どこでも生きていける力をつけることが必要だと思います。

個人の活躍の場を広げていくためには、矛盾するようですが、企業の価値観を変えることが必要です。海外留学を制度として取り入れている企業はまだまだ少数ですが、導入すれば留学を理由に企業を退職するということが無くなります。会社が支援してくれるならばと、留学にチャレンジする人も増えていくはずです。なので、スクールウィズとしては「リモートワーク留学」を企業の制度として導入していってもらえるよう取り組んでいきます。

スクールウィズは「世界を舞台に活躍する人があたりまえとなる社会へ」というビジョンを掲げています。英語力が身につけば、働く場所の制限がなくなり、キャリアの選択肢が世界へと広がります。

まずはリモートワーク留学をグロースさせ、ゆくゆくは英語以外の言語やビジネスプログラムにも参加できるようサービスを充実させていきたいと考えています。

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編集:野垣映二(ベリーマン)
執筆:高橋直貴
撮影:小池大介

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