【調査】「転職前提社会」は本当に訪れる?ニッポンのリアルな転職意向を調査

人材の流動性が増し、日本も徐々に「転職前提社会」へ向かうと言われている。今、まさに従来の日本型雇用からの過渡期にある日本。キャリア観のパラダイムシフトは働く人々に実際に起こっているのだろうか。本記事では全国551名を対象に、日本の転職の現在地を探る。

今回、The 3rd Door編集部は、20〜40代の正社員で、「仕事は好きだ」「仕事はどちらかといえば好きだ」と回答した年収500万円以上の全国551名の会社員(正規雇用)を対象に、転職意向に関する調査を行った。

約半数の51.5%が「転職経験なし」

転職回数に関する質問に対しては、0回の「転職経験なし」が51.5%。それ以外の49.5%が「転職経験あり」という結果になった。「転職経験あり」の内訳は1回・23.4%、2回・10.9%、3回・6.9%、4回以上・7.3%。

性別・年代別に見ると、年代が上がっていくにつれて、徐々に転職回数が増えていくものの、「女性30代」を除いて最も「転職経験なし」が高い割合を占めた。まだ日本の現状が「転職前提社会」とは距離があることが伺える。

「今の会社にできる限りいたい」は35.8%

では、転職意向についてはどうか。「今の会社にできる限りいたい」は35.8%。残りの64.2%は状況によって「転職の可能性あり」とも言える。明確に転職の意向を示しているのは「いますぐ転職したい」「いずれ転職したい」と回答した37.1%という結果になった。

転職回数の調査結果で0回の割合が多かったことを考えると、実際の転職回数と転職意向で差が生じていることがわかる。

転職回数と転職意向でクロス集計をすると、転職経験0回の層では「今の会社にできる限りいたい」が最も高い割合なのに対して、転職経験1回・2回の層では「いずれ転職したい」が最も高い割合を占める。転職経験3回だと「どちらとも言えない」、転職経験4回以上で「今の会社にできる限りいたい」が再び最も高い割合を占める。

転職意向については0回の層より、1回・2回で転職意向が高まっていき、それよりも回数を重ねると徐々に転職意向が低くなっていくことがわかる。

日本型雇用からの過渡期にキャリアをどう考えるべきか?

今回の調査からは、新卒入社した会社で長くキャリアを築いている層が多く存在し、またそういったキャリアを希望している層も一定数存在することがわかった。

日本型雇用から欧米型雇用へ移行する。人材の流動化が進む。これらの言説と実態には現状はまだ距離があるのかもしれない。

一方でこれらの言説が、労働者のニーズだけでなく、企業及び日本の生産性向上を目的として語られている「あるべき論」だと考えれば、転職に対するビジネスパーソンの価値観を変えていくことは日本の課題であるとも言える。

日本が欧米型雇用へ移行するにあたって壁となるのは、企業ではなく、個人の価値観や意識なのかもしれない。